中学受験というと私立受験を思い浮かべる方も多いと思いますが、国立中学も存在します。
国立中学とは大学の附属中学で、調査や研究のために利用されます。
また、小学校と併設されていると、小学校からの内部進学生もいます。
国立ですから私立のように学費がかかるわけではありませんが、実際には校舎の修繕費や教材などの積立がありますから、公立中よりもお金はかかります。
今回は、国立中に子どもを通わせる親目線で、国立中のメリットデメリット、受験としてありかなしかを、様々な観点から検証したいと思います。
国立中学受験の合格のポイント
息子が入学した国立中は、事前に志願書を提出し、筆記試験と面接という受験スタイルでした。
受験日の初日は筆記試験で、翌日が面接。
全員が面接を受けますから、筆記だけで落とされるということはありません。
通っていた塾からは、筆記で満点近く点数を取っていても、面接で落とされる場合があるので、面接の比重がかなり大きいと聞きました。
事前に提出する志願書も、親が確認しながら、何度も書き直し、塾にも何度も点検してもらいました。
という状況から思うに、志願書、筆記、面接の3つが、どれも手を抜けないということです。
息子は、野球とレゴロボット製作をしていたことを志願書に書いていましたが、面接でもそのことを質問されましたので、自分をしっかりとアピールすることができました。
ですから、志願書が合格につながったとも言えます。
塾ではグループ面接の予行練習もしてくれました。
我が家にとっては初の中学受験でしたから、最後の最後まで塾には本当に助けられました。
ちなみに、国立中と一概に言っても、筑波大附属駒場中学の場合は、灘や開成を超えるSAPIX偏差値70と言われますので、圧倒的な学力が必要です。
我が家のように6年生のたった1年間の受験勉強で合格なんて、到底無理!
お子さんが国立中を志望している場合は、それぞれの学校の受験傾向をチェックされることをお勧めします。
国立中の倍率は私立中より高い!?
国立中学は、公立と同じで、学費は基本的にはかかりません(とは言っても公立よりかかりますが、詳しくはこの記事で)。
というわけで、志願者は多いですし、倍率は高くなる傾向があります。
ただ、私立と違って、正確な合格者の割合や合格者の平均点などが提示されない国立中もあります。
ですから、国立中の受験は、少々謎に包まれていることもあります。
息子の受験の時、面接時に会場にいた人数を受験番号等から推測し、合格者数で割って合格者の割合を出してみると、倍率は、おおよそ5倍以上でした。
有名私立でも約3倍くらいですから、5倍というのはかなり厳しい倍率です。
また、ただ学力を伸ばせばいいという受験ではないとしたら、正直何に力を入れたらいいかわからないですよね。
筑波大附属駒場中のような圧倒的学力が必要な国立中ではない場合、口コミや周辺の塾に聞いて、情報をチェックしておく必要があります。
国立だから、ある程度基本の勉強ができていたらいいだろうと思って記念受験のように臨んでしまうと、全く状況は違ったということにもなりかねません。
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国立中学からの高校進学の実情
国立中で高校が併設されている場合、内部進学でもかなり厳しい試験がある学校もあります。
学芸大附属中は内部生でも高校進学は簡単ではないと言われます。
筑波大附属駒場中は基本的に全員が高校に進学するのだとか。
ですから、志望されている国立中の高校進学状況を事前に確認することをお勧めします。
何も知らずに国立中に入って、高校進学が簡単でないとわかった場合、中高一貫の私立と違って、高校受験もすることになります。
すると、中学受験、高校受験、大学受験と3回連続で受験ストレスがかかってしまうのです。
高校が併設されていなかったり、高校への内部進学が厳しい国立中の場合は、中学受験に必死になってしまうと、そこで燃え尽きてしまうかもしれません。
少し余裕をもって合格できる状態で、受験できるといいですね。
内申が厳しめの国立中
高校が併設されてない国立中の場合、高校受験は、公立中に通う子と同じようにやってきます。
高校受験については賛否両論ありますが、高校受験を避けたいと思っている親が問題視するのは、内申点です。
内申点は、各教科の教師たちの判断でつけられますので、教師に左右されてしまいます。
どれだけテストで結果が良くても、教師との相性が悪ければ、内申点が下がることもあるのです。
これに問題を感じて、高校受験を避けて、私立の中高一貫校を選ぶ親もいます。
長女が公立中学から高校受験をした経験からいえば、確かに、内申点は問題のあるシステムだと思います。
国立中を目指していて、高校受験もすることになるなら、内申点については、事前に調べておいたほうがいいです。
息子が通う国立中は、内申点が厳しいということが、入学してからわかりました。
ということは、公立中に通う子たちと、高校受験で勝負するときに、不利になります。
塾の講師に「なんであの学校に入ったんですか!?」と最初の面談で問われた時には、「だって知らなかったんです!」と答えるしかありませんでした(涙)。
ただ、内申点が厳し目であったとしても、教育の質はとても良いです。
授業の進みも早く、研修授業などもあって、様々な体験ができます。
公立中に行っていたら5が取れそうな科目が4で、4が取れそうな科目が3という感じですが(涙)、それでも国立中の環境を選んだことは、我が家にとっては間違いではありませんでした。
高校受験では難関校であればあるほど、内申点よりもテストの結果が優先されます。
ですから、高校受験に一概に内申点だけが重要というわけではありませんが、高校によって内申点の比重が高かったり、内申点によって推薦がもらえる場合もありますから、この点は、事前によくよく調査しておくことをお勧めします。
我が家の場合は、調査不足でした(涙)。
国立中の教師たち
あくまでも息子の通う学校の話ですが、想像していたよりも、良い教師たちに恵まれていると感じています。
国立中の教師といっても、元々は公立中の教師で公務員をしていたんだから、結局は変わらないのでは!?と、公立中で大変な思いをした我が家は、正直あまり期待をしていませんでした。
ですが、この点については、良い意味で期待を裏切られましたよ。
国立中の教師がどうやって選抜されるのか調べてみると、やはり、かなり優秀な人たちが選ばれるのだということがわかりました。
国立中の教師は、その県内の公立中の教師で優秀な人たちが推薦を受けたり、志願したりして、採用されるのだと言います。
教育研究に熱心でなければ、国立中での仕事は務まらないといいますから、彼らの質は、公立中の教師とは異なります。
話もよく伝わりますので、生徒間で何か小さな問題があっても、こじれるということが想像しにくい状況です。
とある有名国立中で、こじれた問題が生じたと、その学校に子どもが通っていた友人から聞きました。
ネットで拡散されているくらい有名になった問題らしいのですが、どうやらこれは親の問題が大きいということ。
公立でも、私立でも、国立でも、親に問題がある場合は、確かにこじれてしまうこともあるでしょう。
ですが、ある程度の常識的な親だとしたら、公立中とは違い、国立中で問題を感じることはそう多くはないと思います。
国立中の教育研究
大学附属の国立中には、大学教授たちも出向して授業を行うことがあります。
子どもたちも、大学を意識しながら過ごしますので、環境は非常にいいです。
ただ、国立中での教育研究が、本当に意味があるのかという議論があることを知りました。
これについては、正直なところ、入学した子の親としては、考える必要のない話かもしれません。
ですが、公立中で大変な思いをしてきた我が家は、国立中からの教育研究の報告をもらいながら、時々虚しさを感じることもあります。
質の高い教育を受け、守られた環境で、のびのびと中学校生活を送る国立中の生徒がいる一方で、その他大勢の子どもたちは公立中にいます。
本当はもっと手厚くケアを受けて、研究対象とされるべき子どもたちは、公立中の生徒ではないかなと公立中を知っている親として感じます。
当たり前ですが、長女が中学不登校だったことは、国立中では研究されていませんし、今まさに学校との間に問題を抱えている子どもも親も、教育研究という恩恵は受けられていません。
教育研究ってなんだろう・・・と、正直遠い目をしてしまうのも事実です。
国立中受験、我が家が選んだ理由
ということで、国立中学受験がありかなしか!?という議論については、ご家庭の教育方針や経済状況、選ぶ(選べる)学校によって異なると思います。
我が家としては「あり」でしたが、正直、絶対ありかというと微妙なところです。
高校が併設されていたら、もっとよかったのにというのが正直なところ。
じゃあ、なんで選んだのか?というと、我が家の場合は、こんな理由がありました。
- 上の子の公立中での問題があって、なんとしてでも公立中を避けたかった
- 野球小僧だったので中学受験はしないつもりでいたため、受験勉強が間に合う私立中学が見当たらなかった
- 私立中学に入るための資金がそもそも危ういと判断した
- 仮にどこでもいいからと私立に入ってしまうと、大学受験に響くため、最善を選んだ結果が国立中だった
- 国立中から高校受験、そして、大学受験という道のりが、息子にとって最善だと想定した
- 県立中高一貫校か国立中か迷ったが、入りたい部活が、国立中にしかなかった
- 通える場所にある県立中高一貫校は、受験時の倍率は非常に高いが、大学受験の進学実績が、中学受験時の倍率に見合っていないと判断した
ということで、国立中受験は、やはり、家庭とその子の状況に非常に左右される選択です。
中高一貫私立で6年間余裕を持って過ごせるほうが、子どもにとっていいというのは、正直なところです。
もちろん、公立中から高校受験、大学受験と進んでも、何も問題のない子もいると思います。
公立、国立、私立の各中学事情
今回の内容を、以下のようにまとめました。
公立中 | 国立中 | 中高一貫私立 | |
中受倍率 | なし | とても厳しい | 学校によるが難関の場合は3倍前後 |
学費 | なし | 学費はないが、積み立てなどは公立中よりかかる | とてもかかる |
教育の質 | 検証不可能、そもそも教育の質を問える場所ではない | 高い | 高い、子どもにあった学校を選べる |
教師の質 | 検証不可能、公務員である意識が強め | 高い | 高い |
高校受験 | 必要 | 高校が併設されてない場合は必要、併設されている場合は内部進学の難易度が学校によって異なる | 不要 |
これを見て、国立中を選ぶメリットはあると思いますか?
私立中と比べて、正直デメリットと感じられることもあると思います。
コスパを思えば、国立中に行くなら公立中でいいという考え方もあるでしょう。
それでも国立中に行くというのは、やっぱり環境とそれぞれの事情があるんだと思います。
次回は、国立中の実際にかかる費用について、お伝えしていきます。
中学受験を考えたら、まずはZ会の通信教育 小学生コースから始めましょう!国立中に合格した野球小僧の息子も、Z会の通信教育 中学受験コースからスタートしたことで、受験のイメージがつかめました!